●TBS「報道特集」

『裏側から見た名画たち』

放送内容はここを見てください。


1999年11月19日、TBSの「報道特集」で絵画の真贋についての特集がありましたが、全くひどい内容で驚いてしまいました。佐伯祐三の真贋論争について書きますが、他の部分も同じかも知れません。というよりもメインターゲットは吉薗佐伯であり、他の部分は付けたしのような感じでした。
「報道特集」では、落合氏と評論家の朝日晃氏がそれぞれコメントを述べており一見公平な扱いに見えますが、次に書きますように明らかに贋作に見えるように作られていました。

1.朝日氏には、ちゃんと「美術評論家」という肩書きをテロップに付けていましたが、落合氏には
   何もつけずに名前だけで、美術評論家と一般人のコメントというようなイメージを与えていました。
    → 落合氏は、中国陶磁器、李朝関連の図鑑の著書があり、加えてこのHPで紹介している著書もあり
        少なくとも「陶磁器研究家」あるいは「美術研究家」の肩書きを付けるべき。

2.吉薗周蔵氏を「詐欺事件の容疑者の父」というマイナスイメージの形容詞を付けて紹介していた。
    → この詐欺事件に関しては、よく知りませんが少なくとも佐伯祐三の「真贋」に関しては、全然関係
        ありません。しかも、評論家として登場した朝日晃氏は、贈賄事件で有罪となっているにも関わらず
        その事には一言も触れません。刑が確定していない人物を容疑者と呼んでいるにも関わらず、刑の
        確定している朝日氏に対しては、何のコメントもない。ここにもTBSの偏向した報道姿勢が見えます。

3. 朝日氏の「あんな下手な画を佐伯作品としたら佐伯がかわいそう」という単純な主張に比べて、
    落合氏の「佐伯の画は妻米子が加筆したもの」という複雑な主張を何の説明もせずに出していた。
    → 知らない人は、何の事が全然分からない。少なくとも、妻米子の加筆に関しては、自筆の手紙で
        告白しており新聞記事になった事もある位の説明が必要ではないか?

4.米子の手紙に関して本物とは認められていないとのナレーションがあった。
    → 落合氏が依頼した筆跡鑑定では自筆と認められているはず。その件を覆すような事実があったのなら
        説明すべき。

といったように、見た人の贋作のイメージを与えるように仕組まれていました。この真贋論争の争点は、
妻米子の「加筆」にあるのですからそこの部分にメスを入れずに紹介するのは、片手落ちとしか言いようが
ありません。

ご覧になった方は、どう感じられましたか?


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