●TBS「報道特集」


1999年11月19日、TBSの「報道特集」で絵画の真贋についての特集がありました。

『裏側から見た名画たち』
・・・ マスコミはこうして偏向報道を行う ・・・

●一応は、落合氏を登場させて、贋作派の朝日氏と両論を対比させていますが、贋作派に寄った報道であることは明白です。


番組の内容 私のコメント
【詐欺事件を報道する新聞記事が映し出される】
(ナレーション)

そもそも贋作だと誰が審判を下すのか? 一つの鍵となる真贋論争がある。今年の夏、新聞が小さな詐欺事件を伝えた。「絵が売れたらお金を返すから」
4年前、同じ人物は福井県武生市の市役所に、ある作家の名画37点を持ち込んでいたのである。
まだ、結審していない詐欺事件を最初に持ち出すことから見てもTBSの報道姿勢は明らか。
【小泉市長の顔UP : 前武生市長 小泉康剛のテロップ】
(スタッフの質問)
最初に見た時、作品ご覧になってね、どんな印象でした? ・・・うまいとか、すごいとか・・・
(前武生市長 小泉康剛)
私はね...あのう...私は浅い予備知識しかなかったもんですから...見た時に、こんなもんはそう簡単に真似できるものではないだろうという気はいたしましたね。そんなに...似せて描くって言いますか...贋作と言いますか...。
【武生市の公会堂が映し出される】
(ナレーション)
うまく行けば、この公会堂の2階ににその名画がズラリと並ぶはずであった。やがて真贋論争の後、美術界の大勢はその全てに贋作の烙印が押した。
【今回発見された佐伯の絵のUP : 問題の作品のひとつ・・・のテロップ】
当然武生市は、作品の引き取りを拒否し、時価十数億円はこの時点でゼロとなる。
美術界の大勢が贋作となっているのは本当だが、まともな真贋論争はなされていない。落合氏が新たに提出した、「小林頼子報告書」に対する反論や、米子の手紙に関する議論はされていない。
【朝日晃氏の顔のUP : 美術評論家 朝日晃のテロップ
今回の場合ってのは、戦後としても異常なくらいの点数ですよね...。それから念の行った仕掛けが...。
朝日氏に明らかに贋作であるとの立場での解説を強調している。
【佐伯祐三のライフマスクの画像が映し出される】
(ナレーション)

これが
贋作騒ぎに巻き込まれた人物。享年30と若いが...
【佐伯祐三の自画像に切り替わる】
どこまでも不幸な男であった。東京芸術大学には卒業記念に自画像を残す伝統がある。佐伯祐三、卒業は大正12年。凛々しさの中にきらめく優しい眼差し...。
【パリの俯瞰画像 ⇒ 佐伯祐三の遺骸の写真】
だが、男の表情は異国パリで一変する。あえて最後の写真をお見せする。結核に落ち窪んだ目から、止め処なく涙が溢れ頬を伝う壮絶は死は卒業のわずか5年後であった。
【佐伯祐三、妻米子、娘弥智子3人の写真 : パリの佐伯一家のテロップ】
悲劇は続く、6歳の娘娘弥智子も2週間後、同じ結核で父の後を追う。美術史上に残る贋作騒ぎは、こんな不幸な男の遺作を巡るものである。
ナレーションが佐伯祐三の悲劇を盛り上げる。「結核に落ち窪んだ目から、止め処なく涙が溢れ頬を伝う壮絶は死は」という表現は見てきたような表現である。(笑)
画家として妻の加筆した絵が真作で、自分の描いた絵を贋作とされる方がよっぽど悲劇だと思うが...。
【落合莞爾氏の邸宅の玄関が開けられ、山積みされた佐伯画が現れる】
問題の佐伯作品は思わぬ所にあった。とある地方都市のお屋敷、そこの玄関先に山積みされていた。少なくとも名画の扱いではない...。
【落合氏がその絵を包装している紙を開いて絵を出す。 : 未公開の佐伯作品...? のテロップ】
(スタッフ)
未公開?...
(落合氏)
未公開だ...。
(スタッフ)
そうとう古めかしいですね、これ。
(落合氏)
このキャンバスなんだよ...。ちょっと向こうに持っていこう。

【落合氏がその絵を持って玄関から部屋へ運ぶ】
ええもん出たな...オプセルバートワーズだなこれ。ええもん出てきたな...。すごいの出てきたな...一番良いのは隠しているんだな、やっぱり...吉薗は...。
落合氏に対して、何の説明もなく唐突な印象。落合氏も名画として扱っていない事を強調している。
【開けたばかりの佐伯画を映す】
(ナレーション)
預かっているだけ、と笑うこの御仁。
いきなり、自分も初めてみるという新たな佐伯を持ち出した。
(落合氏)
あ、これ(サインが)入ってる、Uzo Saeki 1924年、これね。
(スタッフ)
卒業してすぐですかね...。
落合氏に対する説明が何もなく、突然登場させて、「預かっているだけ、と笑うこの御仁」という揶揄したような説明はどういう事か?
【新発見の佐伯と1924年作「田舎のホテル」を並べて】
(ナレーション)
絵に記された年代は1924年佐伯はその年の1月、パリに着いている。同じ年の真作と比べて見る。素人目にも違う。
70年以上も放置され、額装も修復されていない汚れた絵と、修復済みの絵(しかも色彩の極端に違う絵)を持ってきて贋作であることを強調。
これは作為以外の何物でもない。
【新発見の絵を開きながら : 吉薗周蔵の肖像...? のテロップ】
(ナレーション)
これが佐伯から絵をもらったとされる人物。詐欺事件容疑者の父である。
【新発見の絵をの横に落合氏が座る: 落合莞爾 のテロップ】
(スタッフ)
吉薗さんは100点以上持っていた訳ですか?
(落合氏)
150はあったんじゃないでしょうか?
佐伯画を所有していた吉薗周蔵氏に対して「詐欺事件容疑者の父」との形容詞は悪意以外の何ものでもない。
次に登場する、朝日晃氏は贈賄事件で有罪の判決が出ているにも関わらず、それに関しては、何のコメントもない。これを見てもTBSがいかに偏向しているか分かる。
落合莞爾氏に対して、名前以外の説明が何もない。視聴者に対して単なる、絵を預かっている地方都市の一般人という印象を与えようとしている。
吉薗周蔵の肖像の絵に朝日晃氏の声が被る】
【朝日晃氏の自宅? :美術評論家 朝日晃 のテロップ】
(朝日氏)
あんな下手な絵が佐伯祐三だなんてまかり通ったら...佐伯が可哀想ですよ。
佐伯祐三の一本の線というのはですね。まったく全神経を突っ込んで例えば、このね、真中のこういう線なんかバシーっと入っているでしょ? 163cmの身長、偶然僕と同じなんだけど、椅子に腰掛けて絵を描いていないんですよ。立って150cmイーゼルに20号のキャンバスを置いてバシーっと引いているんです。
朝日氏の思い入れは分かるが、「見てきたような」話は頂けない。結局米子からの情報からの創造でしかない。
「佐伯が可哀想」というが、自分の絵を贋作とされる方が可哀想だと思わないのか?
【落合氏の顔のUP : 落合莞爾 のテロップ】
(落合氏)
朝日さんは、朝日さんの立場とういのは米子さんの説に乗った訳ですから、米子さんが自分が加筆した事なんか言うはずもない。その米子さんの説、米子説の上に乗ったのが、朝日説ですから...。
(スタッフ)
じゃあ、佐伯の一番魅力のあるあの線は米子さんの線であると...。
(ナレーション)
そりゃあ、間違いないと思いますよ。何回も、こういう資料に書いてあります。米子さん自体も(手紙で)言っているようだし、やっぱりあれは北画の線...
落合氏に対して何の説明もない。地方都市に住んでいる一般人という印象を与えようとしている。
美術評論家の朝日氏 VS 一般人の落合氏という構図を印象付けようとしている。
【新発見の絵 ⇒ その絵の前で米子の手紙を読む落合氏】
(ナレーション)
落合は、鍵は妻の米子だと反論する。夫より上手かったと言われる米子が佐伯の絵に筆を加えた。
(落合氏)米子の手紙を読む
「私が手助けしたり、書き加えました。完成しているものだけでも下さいまし...。」
この、一番の証拠はね、米子さん本人が手紙でね、自分が加筆したことを何回も書いていることなんですよ。
(ナレーション)
要は、上手い佐伯ではないが、偽物ではない...と。ただし、この手紙も本物とはされていない。
これは明らかに誤報。米子の手紙は、平成7年12月に落合氏が筆跡鑑定に出し、米子自筆との結果が出ている。この件は、平成8年1月に共同通信で報道されている。
TBSは事実を曲げてまで贋作にしたいのか?
【落合氏が古びたトランクを開ける。中に佐伯祐三のサインがある】
(落合氏)

このトランク。これは佐伯のトランクだそうです。
(ナレーション)
いずれも今回の詐欺事件の容疑者の父が持っていた資料である。ただし、パリ時代の佐伯の友人は誰一人、この吉薗なる人物を知らないという...。
詐欺事件の容疑者の父」を何度も強調する。
パリ時代の友人は誰一人知らないというが、
誰に聞いたのか?
(何人に聞いたのか、名前をはっきり出すべき。本当に全員に聞いたのか怪しい)
【佐伯祐三 「パレットを持つ自画像」】 ⇒ 朝日氏の顔のUP
駄作しか描けない。苦悶する佐伯はパレットを持って立ちつくす。佐伯らしからぬ佐伯の絵。贋作家は、このわずかな隙を突いたのか...。
(朝日氏)
非常にそういうのは佐伯的ですよ。それから人間的ですよね。だから、そういう人間である佐伯の絵をを贋作者は勉強しなければできないですよ。そういうのが、いわゆる佐伯なんですよね。本当の...。
朝日氏のコメントは、思い入れが強すぎて参考にならない。
客観的な考察ではない。





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